西加奈子著【サラバ!】が文庫化!感想・あらすじ(多少ネタバレ)

どうもアスミです。

最近WEB関係の職業訓練に参加していることもあり四六時中液晶画面を見ているので、どうしても本を読みたくなり彼女さんに貸してもらうことにしました。

その中で僕が衝撃を受けた一冊を紹介します。

【サラバ!】

本好きにはかなり有名な作品で、例に漏れず僕もこの一冊にかなりの衝撃を受けました。

この気持ちを誰かに伝えたい…!

てなわけで早速書評をしていきたいと思います。

※極力避けていますが少し内容にも触れています。

書籍【サラバ!】とは

著者:西加奈子

本作に著者は西加奈子という女性作家です。

西加奈子:イラン・テヘラン生まれの日本人作家。
1~2歳までイラン・テヘランで育ち、小学校1~5年生までをエジプトのカイロで育つ。
以降は大阪で育ち、2004年に『あおい』で作家としてデビューを飾る。
代表作に『きいろいゾウ』、『サラバ!』などがある。

代表作である『きいろいゾウ』などは映画かもしているので、名前だけなら聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

特徴としては、日常の中の人物の心象描写に重きを置いた作品が多く、いわゆるエンタメ系とは真逆の作品が多いです。

実は僕の苦手なタイプの作風です(笑)

概要

イラン、エジプト、大阪と世界を回りながら育ってきた主人公歩の半生を描いています。

上巻では幼年期、中巻では思春期、下巻で成人後の歩の人生を描く大長編ですが、同じくイランやエジプト、大阪で育ってきた西加奈子自身の経験も少なからず入っていると思われます。

本作は直木三十五賞も受賞し、累計発行部数も100万部となっている大ヒット作です。

ハードカバーで発売していましたが、最近になって文庫化したので再び注目を集めている作品です。

あらすじ

圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。
そして歩には感情的で自意識過剰、周りから問題児扱いの姉がいた。
その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。
幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。
そして日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことに。

ー弟と姉の激動の半生を描くー

感想

誰もが心に抱いている感情

西加奈子の特徴でもありますが、主人公の心象描写がメチャクチャ丁寧です。

池井戸潤のような分かりやすい勧善懲悪エンタメ作品が読まれやすい昨今では、ややもすれば退屈に感じてしまう危険性もある表現。

しかし本作に至ってはこれがメインといっても過言ではありません。

姉と比較され続けることで幼少期の頃から”空気を読む”ことに長けていた歩の打算的な心の内を余すことなく文章で表現してきます。

でも実は僕も私もこういうところがある!ていう人が多いはず。

また、仲良くしていた友達と簡単に疎遠になったり、学校でのヒエラルキーを気にしたり、幸せな友人を妬む自分に自己嫌悪したり。

そういった人間関係におけるあるあるも満載です。

人前で言うことは決してないけど、皆が思っていることを代弁して書かれているので読んでいてかなり共感ができました。

特に成人後の卑屈な歩の精神状態は、ニートの僕には痛いほど刺さりますね(笑)

宗教観

作中中盤では宗教的な話が多く語られます。

姉が宗教に傾倒する様を見て主人公の歩が軽蔑するような描写がありますが、僕も似たような経験があるのでとても共感してしまいました。

また、本作でサトラコウモン様という宗教が登場しますが、それを通じて作者が説く宗教観が衝撃的です。

「何かを求めず、与えず、ただそこにあるだけの存在…。」

詳しくは本書を読んでもらいたいのですが、散々両親の宗教問題に悩んだ僕には衝撃的な考え方であり、同時に僕が思う「あるべき宗教観」と完璧に合致してしまいました。

この考え方に触れられただけでも読んだ価値があったなぁと思わせられるエピソードがありますので是非読んでみてください。

精神論的な話抜きにしても衝撃的で楽しめるエピソードです(笑)

※僕は無神論者。

抑揚のない物語…しかし。

上記でも書いた通り本作は一人の男の人生を淡々と描いた作品です。

イランからエジプト、大阪移住に問題児の姉などかなり奇天烈な人生ではありますが、基本的に大どんでん返しなどは無く、物語的には抑揚がない印象です。

しかし、だからこそ主人公や登場人物のセリフや行動に歩んできた人生の重みが出ています。

主人公の叔母が作り出した新興宗教サトラコウモン様の本当の意味。

姉から歩への激励。

「自分が信じるものを誰にも決めさせてはいけない」

「私は、あなたの事を愛している私を信じている」

上中下巻を丁寧に読み進めていけば、どれか一つでも心に残る言葉に出会えるはずです。

まとめ

今まではこういったジャンルの本は苦手意識があり読んでいませんでした。

それこそエンタメ系、上述のような池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」など、わかりやすい完全懲悪作品が好きでしたが、本作で考えを改めます。

それほど衝撃的な一冊でした。

心理描写が多いとはいえ100万部を超えているので、それなりに一般受けもする内容ではあると思うので是非とも手に取って読んでみて欲しい一冊です。

それでは!

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